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●前立腺がん

熱帯果実の女王マンゴスチンに副作用はほとんどなくすべてのがんに抑制効果 2006/05/05
 東南アジア原産の果物マンゴスチンの果皮に、がん抑制効果があることを、岐阜県国際バイオ研究所が発見した。研究所では、成分の抽出法や、適正な摂取量などの研究を進めており、健康食品などに活用する道を探っている。
 マンゴスチンの果皮は、現地では炎症や傷の治療薬として知られており、果皮に含まれるキサントンという成分には、抗菌や抗カビなどの作用がある。キサントンは、老化やがんの要因とされる活性酸素を除去する働きを持つポリフェノールの一種である。
 培養した人がん細胞に、果皮から抽出した成分を加えたところ、がん細胞は18〜24時間で減り始め、48時間後には6〜7割が死滅。大腸がんや前立腺がん、白血病など、すべてのがん細胞を抑える効果があることが確認できたという。抗がん剤のように、正常な細胞を壊してしまう副作用もほとんど見られなかった。

がんの放射線治療 副作用リスク遺伝子で予測 2006/03/28
 放射線によるがん治療で副作用が起きるかどうか、患者の遺伝子を基に判断するシステムを放射線医学総合研究所(千葉市)が開発した。個人によって異なる副作用の発症確率を予測し、その人に合った放射線照射量を決めるのが狙い。予測精度を高め、5年後の臨床応用を目指す。
 がん細胞を狙う放射線治療では、周囲の正常細胞も傷つき、潰瘍(かいよう)や下痢、血尿などの副作用が伴うことがある。
 同研究所は、全国の大学病院などの協力で約2000人の副作用と遺伝子のデータを収集。乳がん、子宮頸(けい)がん、前立腺がんの副作用発症にかかわる、57種類の遺伝子配列の違いを特定した。
 新システムでは、微量の血液採取で遺伝子情報を取得。放射線治療で副作用がみられた患者の配列と比較し、発症確率を予測する。約3時間で判定できる。

日本人は体形で前立腺がん発症のリスクに差なし 2006/03/13
 日本人の男性では、体形によって前立腺がんになる危険性は変わらないとの疫学調査の結果を、厚生労働省研究班が2006年3月13日付の英医学誌に発表した。
 前立腺がんの発生率が日本の約十倍の欧米では、肥満がリスク要因との報告があるが、日本人には必ずしも当てはまらないことを示す調査結果で、食生活やホルモン濃度の違いなど他要因が関係しているのではとしている。研究班は40〜69歳の男性約5万人を1990年から最長13年間にわたり調査した。

オメガ3脂肪酸にはがん予防効果なし 2006/02/06
 魚や魚油の補助食品に含まれるオメガ3脂肪酸は、心臓のためには有用であるが、がんの予防には効果がないことが、アメリカのリウマチ専門医らの研究で明らかにされ、米国医師会誌JAMA2006年1月25日号に掲載された。
 大半はオメガ3脂肪酸の摂取量が多くても、乳癌、結腸癌、肺癌および前立腺癌などの発症率に対する影響は示されなかった。
 動物を対象とした一部の研究で、オメガ3脂肪酸の抗癌作用を示す結果が得られているが、その他の研究では関係は示されていない。

新たながん抑制遺伝子 前立腺がんの治療に応用も 2005/10/31
 正常細胞にあるのにがん細胞でほとんど発現していない特定の遺伝子が、前立腺がんを選択的に細胞死(アポトーシス)に導くことを岡山大の公文裕巳教授(泌尿器病態学)、許南浩教授(細胞生物学)らのグループが2005年10月30日までに突き止めた。
 同グループは、正常細胞ががん化するのを防ぐ新たながん抑制遺伝子「REIC/Dkk3」としており、この遺伝子を使ったがん治療を進めたいとしている。

永久挿入密封小線源治療開始(島根) 2005/10/19
 早期の前立腺がん患者の治療で、放射線源を直接患部に挿入して内部から放射線を当てる療法「永久挿入密封小線源治療」が、2005年10月から島根大学医学部付属病院(島根県)で開始。
 この治療方法は、日本では2003年に認可された。小型密封放射線源を前立腺に数十個埋め込み、そこから患部にだけ放射線を照射することによって治療する体内照射療法。
 前立腺の全摘出手術や、外部から放射線を当てる外照射と比べ、直腸やぼうこうなど他器官への放射線障害や合併症などの影響が少ない。治療に必要な入院期間も1週間以内と短い。

前立腺がんの放射線治療 2005/10/19
 前立腺がんの放射線治療には主に3通りの方法がある。

 一つは放射線を外から当てる外照射。三次元照射ととも言われ、様々な方向から照射する。

 次に、日本で一昨年9月に導入された小線源治療。弱い放射線をじわじわと放つヨウ素のカプセル(長さ4・5ミリ)を60〜100個程前立腺に埋め込む。半年ほどで放射線は出なくなるが、カプセルは取り出せないため、「永久挿入」と呼ばれる。早期がんに適している。やや進んだがんには、外照射を併用する。

 同じ小線源治療でも、イリジウムという放射性物質を用いた方法もある。前立腺に3日間、放射線を発する十数本の針を刺し、内側から放射線を当てる。イリジウム小線源は、強い放射線を集中的に当てることができ、中程度の進んだがんでも効果が期待できる。

前立腺がんの主な
放射線治療の種類
治療期間 長 所 短 所
外照射 約7週間(35回前後)通院 ・入院が不要
・副作用が少ない照射法も進歩
・治療期間が長い
・照射方法によっては、副作用の頻度が増す
小線源(永久挿入:低線量率) 3泊4日の入院 ・治療期間が短い
・体への負担が少ない
・実施施設が少ない
・対象は一般に早期がんに限られる
小線源(一時挿入:高線量率) 1週間の入院と
2週間(10回)通院
・高線量を当てることができ、やや進んだがんでも効果が期待できる ・実施施設が少ない
・針を3日間挿入したままベッド上で安静にしていなければならない

治療待ちの小線源治療 2005/8/10
 日本では2003年9月に導入された「小線源治療」は全国で30以上の施設で実施されているが、その多くの施設では「治療待ち」の状態となっている。
 小線源治療とは早期の前立腺がんの治療法の一つで、腰椎に麻酔をし、直腸から前立腺を映し出す超音波装置を入れ、その画像からコンピュータで計算した位置に長さ4.5ミリの放射線カプセルを60〜100個埋め込む。埋め込んで1年ほどでカプセルから放射線は出なくなるが、カプセルはそのまま前立腺に残る。治療時間は約2時間で3泊4日ほど入院が必要だが、手術が2〜3週間かかるのに比べると短期間ですむ。ただし、この治療は早期がんのみ有効性が証明されている。多くの患者は、小線源治療に体外からの外照射治療との併用治療をしている。
 進行したがんでも小線源治療の場合、ヨウ素よりも強い放射線の出るイリジウム線源で前立腺の内部から数回照射する方法も10年ほど前から実施されている。
 治療後の合併症として、排尿障害(前立腺の腫れ)が最も多く、直腸や膀胱での障害の可能性もある。ただし、性機能障害は手術に比べると少ないとされている。

<小線源治療を実施している主な医療機関>
国立病院機構北海道がんセンター 栃木県立がんセンター
群馬大学医学部附属病院 埼玉医科大学病院
千葉県がんセンター 慶應義塾大学病院
癌研有明病院 東京大学医学部附属病院
国立病院機構東京医療センター 順天堂大学医学部附属順天堂医院
東京慈恵会医科大学附属病院 国立国際医療センター
北里大学病院 横浜市立大学附属病院
金沢大学医学部附属病院 長野市民病院
大阪医科大学附属病院 国立病院機構 大阪医療センター
奈良県立医科大学附属病院 和歌山県立医科大学附属病院
岡山大学医学部附属病院 川崎医科大学附属病院
広島大学病院 徳島大学病院
国立病院機構四国がんセンター 国立病院機構 九州医療センター

食事で前立腺がん予防 2005/6/1
 前立腺がんの予防のためには、リコピン(がんを抑制する物質)を多く含む食品−トマトを用いた食品やピンクグレープフルーツ、スイカなど−を摂取する。このビタミン様物質が前立腺がんリスクを減少させる抗酸化物質だ。また、加工された赤身の肉など脂肪分の高い食品の摂取は控えるよう、米国癌協会(ACS)は推奨する。
 ただし、ビタミンやミネラルなどの栄養補助食品の予防効果の有無は未だ明らかではない。ビタミンAの栄養補助食品は前立腺がんのリスクを高めてしまうなど、ビタミンや補助食品の摂取は自己判断では難しい場合がある。自分に合っているかどうかは医師や専門家に聞くことが大切。

前立腺癌患者に延命効果−ビタミン剤開発 2005/5/18
 前立腺がん患者の延命を促すビタミン剤DN-101が米オレゴン健康科学大学で開発され、抗がん薬ドセタキセルと開発されたビタミン剤DN-101を併用投与した結果、寿命が平均7.1ヶ月延長し効果があることが臨床試験で明らかになった。
 今回の試験で、DN-101は前立腺がん患者にとって延命効果があることがわかったが、試験の規模が小さかった為、DN-101はまだ承認されていない。